日本民謡ガイドブック

民謡ガイド⑧ 喜代節 〜歌詞、解説、意味〜

喜代節

民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第8弾は秋田県民謡、喜代節。

おめでたい民謡の代名詞ともいえる、有名な一曲です。ゆったりした美しいメロディーと、唄い出しからから飛び出してくる「七福神」「鶴亀」というおめでたワードに、日本人なら誰しもがにっこりしてしまうような、福々しい民謡。多くの民謡唄いの方がYouTubeを上げているため聞くチャンスも多く、民謡に興味を持った方の「入口」にふさわしい曲ともいえるでしょう。

児玉宝謹の寸評

祝い唄2本目。こちらは三味線唄。

手前共の楽譜の注釈には「おごそかに品よく」と書かれておりまする…さて?如何なさいますかな?(笑)
前出の謙良節より更に「目出度づくめ」な歌詞が並んで、若干こちらのシチュエーションのほうがわかりやすいかもですね。

銚子が金、盃が銀なのは、庶民には「贅沢品」で済みますが、銀は毒に反応する…
身分の高い、しかし権謀術数の世界に生きる方の知恵が元になってたのです。

あと、なぜ浦島太郎が目出度いこの曲に出てくるのか?

子どもの頃に読み聞かせして貰った内容では、禁則を破って玉手箱を開けたから、一気に年寄りになって「あ~あ」で終わりますが、実はまだあのあとがあるのです。彼が煙で化けたのは、鶴。かたや竜宮城の乙姫は、亀の化身。若い頃の浦島太郎が助けたのは亀の子でしたよね。つまり鶴になって再び竜宮城の彼女のところへ戻って行ったと。

この一連の年数がざっくり鶴は千年、亀は万年で、即ち不老長寿で仲睦まじく生きましたという、実にロングスパンな目出度い物語なんですよぉ~!

 

なんで途中で切れてるのか、とんと解りかねるのですが、とまれ、この曲にあやかったような人生を生きたいものだなぁ~と、思うのであります。

 

 

 

歌詞を読んでみよう!

床に掛け物 七福神   庭に松竹 鶴と亀
これの座敷に 舞い遊ぶ   祝いましたや 鶴の声
謡い初めには 浦島太郎   銀の盃 取り出だし
黄金銚子に 泉酒   生命永らえと 飲ませたい
これの館の 田の水口に   咲いたる花は なに花だ
黄金の花か 米の花   はては身上の 上り(のぼり)花
これのおつぼに 紫竹の竹よ   節は九つ 葉は七つ
いつか日を見て 刈りそめて   綾や錦の 掛け軸に

詳しい解説

秋田県のお座敷唄。

この唄が「喜代節」として世に出たのは昭和40年代で、元唄は「さくら節」という、県南角館地方の唄であった。人によっては「ざっくら節」とも言うが、非常に素朴な唄であったらしい。

詳しくは知られていないが、現在の唄は、正月用の放送のため、お祝い唄として編曲されたもので、一般のいう民謡とは異なり、お座敷の御祝儀唄といった感じである。歌詞も、元唄が単なる酒盛り唄でなかっただけに整っており、改まった席で唄うに相応しい風格を保っているといえよう。

演奏の難易度とポイント

ズバリ言います!
三味線弾き唄いで演奏なさることをお勧めしますが、実はそこそこな方でも可能です。

難易度:2/5

歌詞の内容からすると、相当キャリアを積まないと的な感じを受けますすが、僕の弾き唄いカテゴリで言うところの「旋律同期型」なので、曲の持つ雰囲気よりも意外とシンプル。特に目出度い場でなくても、ちょいと一曲とご披露するのにもうってつけで、ひそかに美味しい。アナタの株もグンッと上がりますよ~(笑)

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