日本民謡ガイドブック

民謡ガイド⑳ 九州炭坑節 〜解説、歌詞、意味〜

民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第20弾は福岡県民謡、「九州炭坑節」。

題名でピンとこない方も、聞いてみれば「あ〜!知ってる!」と声があがること間違いなし。有名な民謡ベスト10…があればノミネートされるのではないか?というほどの定番曲です。ぜひ歌詞を読んでいただき、改めて楽しんでみてください。

児玉宝謹の寸評

イベント唄が続きますが、これより3曲ご紹介します。
先ずはチョー有名な「九州炭坑節」。

知らない人はいない&泣く子も黙る(っことはないかw)盆踊りの定番曲!

民謡の楽しみ方

なぜこれほどまでに有名になったのか? 
それは戦後の国策が密接に絡んでいるのでありまする…

 

 

 

歌詞を読んでみよう

月が出た出た月が出た「ヨイヨイ」 家(うち)のお山の上に出た
あんまり煙突が高いので さぞやお月さん煙たかろ「サノヨイヨイ」
あなたがその気で言うのなら「   」 思い切ります別れます
元の娘の十八に 返してくれたら別れます「   」
一山二山三山越え「   」 奥に咲いたる八重椿
なんぼ色よく咲いたとて 様チャンが通わにゃ仇の花「   」
竪坑千尺二千尺「   」 下りゃ様チャンのツルの音
ままになるならその側で 私(わし)も掘りたや黒ダイヤ「   」
お札を枕に寝るよりも「   」 月が差し込むあばら家で
主の腕にほんのりと 私ゃ抱かれて暮らしたい「   」
香春(かはら)嶽(だけ)から見下ろせば「   」 伊田(いた)の竪坑が真正面
六時下がりの様チャンが ケイジにもたれて思案顔「   」
見上げ見下ろす顔と顔 にっこり笑うて知らん顔「   」
わたしの様チャン トロを押す「   」 わたしゃ選炭場でボタを選る(える)
起こそか覚まそか寝せとこか 思案半ばに明けの鐘「   」
ガラス窓から月がさす「   」 坊やの寝顔の愛らしさ

 

詳しい解説

福岡県民謡。筑豊炭田地方で唄われた労働唄。

この地方の炭田の歴史は江戸時代にまで遡り、かつては人力で採掘していた関係上、労働に伴う作業唄が多い。地底で先山という坑夫が炭層から掘り出す時の唄が「採炭節」、石炭を地上に運ぶ時の唄が「南蛮節」、石炭と石塊を選り分ける時の唄が「選炭節」という具合である。

この選炭節が明治40年頃、演歌として北九州地方に流行したが、大正時代の石炭ブームの頃、石炭成金たちが福岡の花街で豪遊するようになってから、選炭節は「炭坑節」の名で、宴席の騒ぎ唄として欠くことのできないものとなった。

同じ唄は県南部の三池炭坑でも唄われた。ここでは“月が出た出た”のあと、三井ではなく“三池炭坑”と唄う。筑豊と三池の間に炭坑節のふるさと論争がおこなわれたこともあったが、言うまでもなく筑豊が有利であろう。つまり“月が出た出た月が出た三池炭坑の上に出た”は、三池炭坑側の新作ということになるのだが、これは大正初年に流行した、添田唖蝉坊作、奈良丸くずしの歌詞 “月が出た出た月が出た セメント会社の上に出た 東京にゃ煙突が多いから さぞやお月様煙たかろ” を改作、移入したものだと言われている。

「戦後復興は石炭から」と、進駐軍と政府によって強力な石炭政策が取られた。ラジオはこれに協力して、炭坑向けにいつもこの唄を放送した。その明るい旋律は、戦後の打ちしおれた民衆にうけ、たちまち戦前に勝る全国的流行を見せた。踊りも誰にでも覚えやすく全国に普及して、いまでも各地の盆踊り大会では欠かせないレパートリーの一曲となっている。

演奏のポイント

前回のよさこい鳴子踊りもそうですが、とにかく明るく楽しく陽氣にウキウキワクワク(どこまで行くねんっw)演奏しましょう。

そして盆踊りはなんと言っても「櫓太鼓」が上手くなくては!どんなに伴奏や唄声、お囃子が良くても、リズムがずれてては、一座のイライラ度はマックスです(苦笑。いやマジで) 極端に言えば、太鼓と唄だけで昔は踊っていたのです。お三味線なんて高級楽器ですから…

リズムキープだけでは無味乾燥。ノリだけでは伴奏とずれる。
キッチリ合うだけでは踊りが弾まない。出過ぎるとうるさい。引き過ぎると聞こえない。

櫓太鼓は、基礎力は当たり前で、場の空気も読めて、あくまで脇役なんだけど全体を引っ張っていける、現代で言うならDJのような、それも酸いも甘いも噛み分けた人でなくてはなりません。これがなかなか居ないのよ~。後進の方々、そこんトコ夜露死苦www

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