民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第26弾は秋田県民謡、「秋田おばこ」。
現在、秋田県民謡を特集していますが、どれも方言がキツイ…!しかしほのぼのと親しみやすく、まったく秋田弁がわからなくても気持ちがほっこりしてしまうような曲が多いのが特徴です。
児玉宝謹の寸評
秋田県特集10曲中2曲目は、「秋田おばこ」。
解説中にもありますが、秋田県では15~20歳の娘を「おばこ」と呼びます。今でいう青春時代、高校生から短大生辺りですね。昔はこの頃が適齢期だったそう。ちょっと早くね?って思いますが、「人間50年~」という舞にもあるように、平均寿命が50歳だったことを思えば、まぁ、そうなるでしょうか…
歌詞は、秋田弁のオンパレード(笑) 一番の特徴は、語尾に付ける「コ」ですね。次回3曲目は「秋田音頭」の予定ですが、そこでもこの「コ」がズラ~ッ、と(笑) 親しみを込めてるんです!
歌詞を読んでみよう
おばこ「ナ」(ハイハイ) なんぼになる(ハイハイ) この年暮せば 十と七つ
(ハア オイサカサッサ オバコダオバコダ)
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十七「 」( ) おばこなど ( ) 何しに花コなど 咲かねどな( )咲けば「 」( ) 実もヤ成る( ) 咲かねば日陰の 色紅葉( )
おばこ「 」( ) どこサ行く( ) うしろの山コさ ほんなコ折りに( )
ほんなコ「 」( ) 若いとて( ) こだしコ枕コ 沢なりに( )
少し「 」( ) さわる時ゃ( ) ころころ転んで 側に寄る( )
詳しい解説
秋田県民謡。
秋田地方では15~20歳の若い娘を「おばこ」と呼ぶ。「おばこ節」の発祥は詳らかではないが、「秋田おばこ」に関しては、山形の「庄内おばこ」が馬喰達によって持ち込まれた唄であることは確かである。秋田県仙北郡北浦地方雄物川の支流玉川沿いの地域には、上流から「玉川おばこ」「田沢おばこ」「生保内おばこ」、玉川の支流桧木内川沿いに「桧木内おばこ」「西明寺おばこ」など7種類ほどのおばこ節があり、それらを総称して「仙北おばこ」というのだが、世間一般には「秋田おばこ」の名で代表されている。
「庄内おばこ」と比べて、秋田県人の性格によって原型をとどめない程に秋田ナイズされている。その編曲には、佐藤清賢と歌手の佐藤貞子(親子)、小玉暁村などが加わって大正末期頃に今の「秋田おばこ」の原型が作られたが、昔唄が改良されて所謂「貞子節」になってからも、唄い手の気っ風そのままに、早いテンポで弾んだ唄い方をしたのであった。
複雑多岐で芸術性に富み、秋田県を代表する民謡になっているが、この唄も他の仙北民謡と同様で、あくまでも踊りを見せるための民謡であり、伴奏の主役も横笛で、それを助けて三味線と太鼓があるのである。
演奏のポイント
三味線、尺八、鳴り物、囃子、そして唄という、典型的な民謡クインテットです(笑)。ほのぼのとした弾み調子のテンポ感なので、思わずお手拍子が出るというか、そういう表現力でありたいものです。
民謡というのは、改めて言うまでもないんですが、その土地の唄なんです、ということは、その土地の方言で唄うんです。つまりイントネーションというか、独特の「訛り」も、唄のうちなんです。特に東北はその傾向が強くて(いや、琉球はもっとですが)標準語のそれと地元とでは明らか、唄の持つ「味」の違いが歴然なんですよ!
近年ではマスコミの影響で地方ほど標準語であったりして、若い世代は地元の方言を知らない人もいるほどですが、一度、土地の古老に唄って貰って、訛りを真似てみるのもいいかもしれませんね。。。