日本民謡ガイドブック

民謡ガイド㉙ 秋田大黒舞 〜解説、歌詞、意味〜

秋田大黒舞

民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第29弾は秋田県民謡、「秋田大黒舞」。

児玉宝謹の寸評

秋田県特集10曲中5曲目は、「秋田大黒舞」。

コラめでたいめでたい!
お正月にこのような曲を聴くと、もうその年一年はさぞ心豊かにすごせそう!そんな氣分になること請け合いです。

民謡の楽しみ方

アップテンポだし、どの部分の歌詞を見ても、めでたいもの尽くしだし、後述の解説にもあるように、大黒頭巾を被って嬉しそうに舞い踊る姿は、現代ではだんじりが軒先で練ってくれたような縁起の良さに近いものがあるのかもしれません。

 

歌詞を読んでみよう

明けの方から福大黒 舞い込んだ「ナー」  サーサ舞い込んだ舞い込んだ「ナー」
何が先に立って舞い込んだ「  」  「コラ」御聖天が先に立ち  若大黒が舞い込んだ「  」
四方の棚を見渡せば「  」 鏡の餅も十二重ね  神のお膳も十二膳
コラ大と小  代々と飾られたや  サー何よりも目出度いと「  」
(コラ メデタイメデタイ)
春の初めの初夢は「  」  如月山の楠木で  船を造りし今卸し
白銀(しろがね)柱押し立てて「  」  黄金の千両も含ませて  綾や錦の帆を上げて
宝の島に馳せ込んだ「  」  積んだる宝を数々と  この家のお蔵に納めおく
サー何よりも目出度いと「  」
(コラ メデタイメデタイ 商売繁盛 ご家内繁盛 皆さまお達者で金儲けドッサリ)

詳しい解説

秋田県民謡。

秋田大黒舞は、秋田では数少ない門付けの唄の一つで、大黒天の服装をした芸人が部落から部落へと廻り、家々の入り口や土間で舞っては、米や銭を貰い歩いていた唄である。この舞があったのは、主に県南の由利や仙北地方のようで、奥地の人たちは正月などの目出度い時期にそれらしい服装で「福の神が舞い込んだ」と言って入って来られると、単なる物乞い扱いは出来ず、時には座敷で舞わせて余分な施しをしたりもしたものだった。

大黒天といえば、かまどの神として七福神の代表神の様に思われ、昔は恵比寿と一緒に床の間や神棚に飾られていた。現在唄われている秋田大黒舞は、由利地方に伝わっているものを地元出身の歌手がレコーディングしてから広く知られるようになったものである。

演奏のポイント

この曲のポイントは、テンポ感です!

節回しや伴奏楽器にさほど高度なテクニックは必要ないですが、速すぎず遅すぎず、速度記号でいう4分音符=130~140かと。加えて、心地よくウキウキするような感じを、如何に醸し出せるかですね。こうなるとテクニック云々より、演奏者本人が如何に楽しいと感じながらであるかだと思います。

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