民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第16弾は秋田県民謡、「ドンパン節」。
ドンパン節は、秋田県大仙市中仙地域で生まれた民謡です。もとは「円満造(えまぞう)さん」と呼ばれ親しまれた宮大工さんが作ったとされており、「円満造甚句(えまぞうじんく)」と呼ばれていました。その曲を大衆向きに編曲したのがドンパン節です。全国的に広まったのは昭和36年の秋田国体でテーマ曲に採用されて以降ですが、今でも盆踊りなどで多くの人に親しまれています。
児玉宝謹の寸評
「ドンパン節」と聞けば、「あー、あの盆踊りでよく聴く、アレ?」とか、「♪ドンドンパンパン ドンパンパン~」と、早速唄い出したりといった反応を、大抵の人は示されるのではないでしょうか。
はいそうです。正にそれです。
秋田県の民謡なんですよね~。
なので独特の秋田弁も、これまた面白い。方言のイントネーションまで忠実に再現できたら花マルです(笑)
歌詞を読んでみよう
「ドンドンパンパン ドンパンパン ドンドンパンパン ドンパンパン ドドパパドドパパ ドンパンパン」
お酒飲む人可愛いね 飲んでくだまきゃなお可愛い ふらりふらりと九人連れ 右に左に四人連れ
「 」
自慢コ言うなら負けないぞ 米コ本場で酒本場 秋田の蕗なら日本一 小野の小町の出たところ
「 」
唄コで夜明けた我が国は 天の岩戸のはじめより 尺八三味線笛太鼓 忘れちゃならない国の唄
「 」
笑ってくれるなおら言葉 あのせこのせにそだなんす 言うめと思っても口に出る おらが秋田の国訛り
「 」
唄コ聴くなら黙って聴け 上手もあ○れば下手もある 皆んなもここさ来て唄ってみれ
なかなか思うようにいかねもんだ
「 」
庭の菊だけ菊じゃなし 根もきく葉もきく花もきく 私ゃあなたのこともきく 手○に手をとって踊ろうよ
「 」
涼み浴衣で楽踊り はずむ音頭にかけだすき 顔に艶増しつやを出す またも音頭でうかれ出す
「 」
あね山サ行○くか行かねかや 今わらびコさかりだ 酒屋の本当の良いところ 一ふくべ○コ○しょっかけて
「 」
朝まに起きれば飲みたがる 戸棚の隅サ手コ入れて あちこちみながら笑い顔 茶碗で五六杯も知らぬ顔
「 」
姉どこさ○行くただ一人 ホラもう日が今暮れるだで あんまり遠くの方さなば 行かないほうが○いいがんべ
「 」
よぐ来た入れとせめられで 入るに入ってみたんども 年ァまだいかねァ姉ばかり たった一人の留守番だ
「 」
いつ来てみ○ても井戸端に 綺麗に咲くのはあやめ花 秋田のおばこによく似てる 可愛い花だよ皆おいで
詳しい解説
秋田県仙北郡生保内地方に古くからあった「ドドサイ節」が変化した民謡と言われている。
明治時代中期、宮大工の橘円満造(たちばなえまぞう)が、仕事の片手間にドンドンパンパンと囃子言葉をつけて唄ったのに始まるので、元は「円満造甚句」と言われていた。円満造は職人気質の性格で数々の奇行を残しているが、彫刻も巧みな美声の持ち主で、近在の村祭りなどを唄い歩き「かけ唄」を唄う即興詩人でもあったという。
ただ「円満造甚句」に関しては当時、作者の出身地である豊川村周辺のごくごく限られた地域で、しかも彼以外には同職の若者たちが口移しに唄っていたのみという状態だったが、昭和29年、日本コロムビアの演唱者によって「ドンパン節」の名でレコード化されてから急速に全国に広まった。賑やかで陽気なリズムがうけて、昭和36年秋田国体ではテーマソングとして唄われた。
演奏のポイント
とにかく盆踊りですから(笑)
いや、盆踊り唄ではないですが、これはもう一人で弾き唄いとかではなく、お三味線も、尺八や篠笛も、お囃子も、櫓太鼓も、そして踊り子さんたちも、とにかく盛大に賑やかに参りましょう。
音源によっては、ラストコーラスに近付くにつれて、アッチェルランド、つまりテンポが加速していくものもあるくらいなんですよ。ユーモラスですねぇ~。。。