民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第27弾は秋田県民謡、「秋田音頭」。
現在、秋田民謡を絶賛特集中!日本民謡の中でも、多様性があり、素晴らしい曲が多いですよ。今回の「秋田音頭」も掛け合いや方言の豊かさが、聞いていて飽きさせません。ぜひ一度、聞いてみてほしい一曲です。
児玉宝謹の寸評
秋田県特集10曲中の3曲目は、「秋田音頭」。
前回の秋田おばこで予告しました通り、秋田弁の「コ」がズラ~ッと並ぶコーラスもあるんですが、それより何より、この曲を一言で言うなら「和製のラップ」。そう!日本にもラップがあったのですよぉ~
しかし思うに、当時の佐竹藩は、実に豊かだったんだなぁと…こんな奇抜な、それでいて文化性の高さ。しかもそれが進化しながら、有識者ではなく庶民に受け継がれていったというね。これを思い付くということ、またそれがいいと思えることって、相当アタマが柔軟で、心身ともに豊かでないと無理ですよ。
んん~、僕は個人的に、この曲には舌を巻くのであります。いや曲というより、これを作った当時の藩の家臣と、受け継いだ藩内の人々にですね~。
歌詞を読んでみよう
「ヤートーセ」「コラ」秋田音頭です (ハイ キタカサッサ コイサッサ コイナ)
「コラ」○いずれこれより ○御免蒙り 音頭の無駄をいう(アア ソレソレ)
○あたりさわりも ○あろうけれども さっさとだしかける(ハイ キタカサッサ コイサッサ コイナ)
「 」○秋田名物 八森鰰(ハタハタ) ○男鹿で男鹿ブリコ( )
○能代春慶 ○桧山納豆 大館曲げワッパ( )
「 」秋田の国では ○雨が降っても 唐傘などいらぬ( )
手頃の蕗の葉 さらりとさしかけ さっさと出て行がえ( )「 」○秋田よいとこ 名物たくさん 東北一番だ( )
金山木山に 花咲く公園 美人が舞い踊る( )
「 」秋田の女コ 何して綺麗だと 訊くだけ野暮だんす( )
○小野小町の ○生まれ在所 おめはん知らねのげ( )
「 」○秋田名物 ○コの字づくしを つまんで言うならば( )
坊っコに香っコ○ 傘コに小皿コ ○酢コに醤油っコ( )
「 」山コで見渡しゃ 金コに杉コ○ 湧き出す油っコ( )
○里の姉コは 綺麗な顔コで 炭コを売りに来る( )
詳しい解説
秋田県民謡。
江戸時代初期の寛文3年(1633)、時の藩主佐竹義隆公による、城下に流行している手踊り上覧の上意があった時、粋人の家臣が意表を突く目先の変わった踊りをと考えて、柔道の型を取り入れて踊りを作り、藩士の娘たちに教え込んで上覧に供したことに始まる。伴奏としては、笛と太鼓を用いたが、唄は語りだけで音程のないリズミカルなもので踊らせるといった既成概念を破る作者の奇想があたって、藩主の御意にかなったという。
その後は、巷に広まるにつれ囃子も洗練されて派手になる一方、「地口」といわれる語りには滑稽味などが加わった。踊りも、素手で踊るもの、傘と包丁を持って踊るもの、或いは槍と長刀を持つもの等と多様に変化してきている辺りに、様々な見方もあるようだが、初めの着想である直線的な美しさは失われておらず、和製のラップとも目されている。
演奏のポイント
演奏のポイントというより、この曲は唄ではなく言葉なので、前回でも申しました以上に「土地の訛り」無くしては、味も何もあったものではないとw その意味では如何に訛りをコピー出来るかにかかっていると思います。加えてテンポが早いので、三味線もそこそこテクニックが必要ですし、そうなると難度は高いですね~
お励み下さいませませ。。。