日本民謡ガイドブック

民謡ガイド㉘ 秋田草刈り唄 〜解説、歌詞、意味〜

秋田草刈り唄

民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第28弾は秋田県民謡、「秋田草刈り唄」。

秋田県では大会が開かれるほどの、伝統的な民謡です。聴くだけで心が田舎に戻るような、のどかな一曲。日本の原風景という言葉がしっくりくる、秋田県民謡らしさが詰まっています。

児玉宝謹の寸評

秋田県特集10曲中4曲目は、「秋田草刈り唄」。

ちょっと氣分を変えて、竹ものです。A,B,C,B,のフレーズから成るシンプルな曲で、如何にも山村の作業唄らしいのどかな節回しと、やまびこにもなるようなファルセットの甲高いお囃子が、「あぁ、日本の田舎って、いいなぁ~」と思わせるに充分な、独特の味を醸し出しています。

民謡の楽しみ方

 

目をつむって聴いてみると、たとえそれが都会のマンションの自室であっても、幾重にも重なる山々、緑の匂い、頬を撫でる冷たい霧など、まるでその山の中に立っているような錯覚さえ感じます。

 

歌詞を読んでみよう

朝の出掛けに どの山見ても(ホーイ)
霧のかからぬ 「アリャ」山はない(ホーイ ホーイ)
俺とお前は 草刈り仲間(   )
草もないない 「  」 七巡り(   )
田舎なれども 俺らが(秋田)の里は (   )
西も東も 「  」 金の山(   )
峰の白百合 揺れたと見たら(   )
草刈るおばこの 「  」 頬かむり(   )
馬よ喜べ どの山見ても(   )
今年ゃ馬草(まぐさ)の 「  」 当たり年(   )

詳しい解説

秋田県民謡。県南部の仙北、平鹿、由利地方の労作唄。

草刈りは農家にとって欠くことの出来ない季節作業であった。彼らは7~8月の農閑期に、緑肥(みどりごえ)という堆肥用の草や、夏草という牛馬の飼料用、残った草は乾草にして冬季用に蓄えるなどのため、野山に草刈りに行く。馬の背にうず高く草を積んで、朝露を踏みながら唄い帰る姿は、のどかな田園の美しい詩景である。

草刈りの往来に唄う「歩き唄」であるだけに、悠長で、「馬子唄」や「馬方節」とも似た曲想がある。故に別名「草刈り荷方」とも言われている。

演奏のポイント

唄、尺八、囃子のトリオです。一見、2箇所しかない囃子方が負荷が低いように思えますが、その間合いといい、声の高さといい、その長さといい、一流でないと務まりません!

その意味で三者ともエキスパートであるべきです。キーは高いほど映えて、尺数でいう1尺5寸から4寸、本数でいう9本から10本という高さが相応しいと思いますので、女声が向いてますね。冒頭にも述べましたように、如何に山村の雰囲気を出すか!です。

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