民謡は難しくないし、古臭くない! 日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。
都道府県シリーズの第4弾は「津軽シリーズ全12曲」。
幸真會アーカイブ的に50音順で「津軽あいや節」です。
児玉宝謹の寸評♪
この曲は、前回の「悲しさや憤りの裏返しで」というようなネガティヴな側面は、殆ど感じません。それどころか、歌詞にも目出度いシチュエーションのものがあったり、いわば「おらが自慢の~」的に謳歌している内容もあります。曲想もかなりアップテンポで、行け行けドンドンw 津軽三味線もお唄も極めてテクニカル! 演奏し終わった時は、大抵の人がドヤ顔w
そんな高難度の、腕自慢さんにはうってつけの曲なのであります。。。
歌詞を読んでみよう♪
「アイーヤー アーナー」
「アイヤ」唄が流れる お国の唄が
よされじょんから「それもよいや」 あいや節
「 」
「 」リンゴ作りに 惚れたが因果 私ゃ紅さす「 」 暇もない
「 」
「 」どうせ帰るなら 闇夜になされ 姿見せずに「 」 泣かせずに
「 」
「 」さした盃 中見てあがれ 中に鶴亀「 」 五葉の松
「 」
「 」今宵めでたい 花嫁姿 親も見とれて「 」 うれし泣き
未練残して 別れてみたが 遠くはなれて「 」 氣にかかる
浮き名立てられ 添わぬも恥よ 二人添うより「 」 影法師
花はよけれど あの木の高さ どうかこの手を「 」 届くよに
あいの風吹く 船まだ見えぬ 荷物ないのか「 」 船止めか
鮎は瀬につく 鳥ゃ木に止まる 若い嫁さん「 」 目にとまる
詳しい解説♪
青森県民謡。津軽五大節のひとつである(じょんから、あいや、よされ、小原、三下り)
「あいや」「ハイヤ(ハンヤ)」と名のつく民謡の大部分の源流は、長崎県の小島、或いは熊本県牛深辺りで発生した酒席の騒ぎ唄である。独特の弾んだリズムが、日本海を北上する船頭たちによって港みなとにその足跡を残していった。阿波踊りや佐渡おけさなどがその代表的な例である。
ところが、前述の経緯により最北端の民謡は、実は庄内ハイヤ節までで、この津軽あいや節に限っては、ハイヤの名を残してはいても、まったく異質といってよい唄である。
その証しとして、津軽民謡には珍しい三拍子であるという点。その源流経路としては朝鮮半島と北海道とが挙げられる。特に後者は、アイヌのギリヤークの唄といって、呪文を唱える時に鳴らす太鼓のリズムが三拍子であることから、津軽の人々は潜在的に三拍子の音感を持っていたと思われる。
この唄は、句の切れが悪いために、門付けには向かなかったが、舞台芸として踊りがついた。三拍子系特有の情緒と、何とも物寂しい節回しは、津軽五大節には欠かせない。
演奏のポイント♪
津軽三味線、〆太鼓、お唄の、民謡トリオです。特に前奏は奏者の腕前披露の意味合いなので、腕自慢の方はどんなに引っ張ってもOK(笑) そして耳をつんざくような〆太鼓を伴ってから、唄に繋がります。ほぼ最高音で始まり、そのフレーズが三度繰り返されて1コーラスになっているので、三味線さんもお唄さんも体力&実力勝負。弱いものは去れの厳しい世界です! よくよく精進なさって取り組んで下さいませませw