日本民謡ガイドブック

民謡ガイド㊾ 北海鱈つり唄 ~歌詞、解説、意味~

民謡は難しくないし、古臭くない! 日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。
「北海道シリーズ全10曲」8曲目は「北海鱈つり唄」。ヤン衆の心意気を唄ってはいますが、担い手はゴゼたち。
そう、盲目女性の門付けなのです♪

児玉宝謹の寸評♪

んー、、、あ、いやw 何を考えてたかと言いますとね。つまり現在でこそ日本民謡として確立され、美声の持ち主や名人たちによって次々と名演が生まれ、所によってはその楽曲に特化したコンクールが、それも毎年開催されて、地域おこしどころか観光資源にまで発展しているものもあるわけですが、この曲に関して言えば、後述するように例えば唄い出しは、盲目のゴゼたちがお互いの所在を確かめるための言葉だったとか・・・元の姿は、素朴を通り越してそれはそれは切実なと言いますか、場合によっては哀れさえ漂うものであったと思うんですね。
もちろんいつまでも悲劇であるより「あんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ」という歌にもあるように、やがてそれは大所高所から俯瞰され、学者さんたちの論評も加わって、歴史の1ページとして述懐されてこそ、或いは無念の思いを残してこの世を去った者たちさえも、浮かばれるでしょうから。
この唄を聴いていると、そんなことをふと思ったりするのであります。

歌詞を読んでみよう♪

「オイヤーサー アイエー」(ハア キタコラ サッサ)
上でいうなら神威の岬よ  次に美国に丸山岬
下でいうならオタモイ様よ  上り一丁に下りも一丁(ハア キタコラ サッサ)
「ハー」都合あわせて二丁の山よ  折りと折りとに参詣を致し
参詣致したその折柄に  おさごまいては柏手たたく(ハア キタコラ サッサ)
わしの願いを 叶うたならば(ハア キタコラ サッサ)

「  」(  )
さあさ船頭さん支度はよいか  飯を食べたら帆をまき上げて
今朝の嵐にせみ元詰めて  表若い衆に漁夫を頼む(  )
「  」胴の間若い衆に帆足を頼む  艫の船頭さんに舵前頼む
舵をだましてキリキリねじる  指して行くのは雄冬の沖よ(  )
とろりとろりと 厚苫前通れば(   )

詳しい解説♪

北海道民謡。元は越後のゴゼ唄と言われる。地元では「鱈釣り節」と称している。
この唄の歌詞ほど数多い唄はないであろう。江差追分名人の佐々木基晴氏が所有する資料には、約百詞ほどがあるそうである。春の唄、夏の唄、秋冬とあり、いずれも鱈を釣る時の辛さを唄っており、それ故か寂しい歌詞が多いのだが、今回上げた二詞は最も有名で、土地の名を織り込んだ明るい歌詞である。
唄い出しの「オイヤーサー アイエー」は、盲目のゴゼたちがお互いの所在を確かめるための掛け声というのが発端になったとのことである。

歌詞解説
神威             かむい。
オタモイ様          オタモイにある地蔵仏
上り一丁に下りも一丁     険しい道程を越えてお参りするさま
おさご            米と塩をまぜた清めもの。船の安全を祈って海(三方)にまく
せみ元詰めて         旗が動かないようにするため、船の下にロープで絞める
舵をだましてキリキリねじる  ロープを絞める時になる音。蝉が鳴くような音を出す

演奏のポイント♪

お唄、お囃子、三味線、尺八、鳴り物という、典型的な民謡クインテットです。しかもお唄と三味線と尺八の3パートが同一旋律のユニゾンですので、非常にシンプルな楽曲と言えます。それだけに、寸評でも申しましたように、この唄の背景、担い手の心情などを充分に練り込んで臨みたいところです。
余談ですが、特に津軽や北海道でのご当地コンクールは、地元出身者が上位を占める結果が殆どだそうで、そう聞くと他所の者は斜めに見てしまいがちですが、ある審査員が「おめぇの音には訛りがねぇ」と評したことで「あぁ、これは敵わない」と納得したという一幕があったそうです・・・それからいくと僕なんて神戸生まれの神戸育ちですから、地方の民謡を云々する資格などないことになりますが、そこはそれ、僕にしか出来ないやり方で貢献したいなと。
そういうことが出来る辺りも、民謡の奥の深さ、懐の深さだと思うので、皆さまもご自身らしさを活かして、こういう楽曲に取り組んで頂ければと思います。。。

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