民謡は難しくないし、古臭くない! 日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。
「北海道シリーズ全10曲」9曲目は「道南盆唄」。生まれは秋田県ですが、北海道で花開いた、北海盆唄と双璧を成す民謡です~♪
児玉宝謹の寸評♪
冒頭にも書きましたように、鷹ノ巣盆唄と酷似していて、ここ北海道で花開いた民謡です。なのでこのメロディが流れると「鷹ノ巣盆唄だ」と思い出す人より「道南盆唄だ」と答える人が多いように思います(関東以北では違うかもですが汗) 盆踊りは基本「ロック」なのでw その盛り上がりの要素となる「ループ」は、単一反復型(このネーミングは僕独自ですが)の三味線伴奏に確り表れています。盆の踊りに相応しい、どこまでも楽しい曲です。
歌詞を読んでみよう♪
私ゃ音頭取って踊らせるから 夜明け烏の渡るまで *ヤヤ(ヤリャ)渡るまで 夜明け烏の渡るまで
夜明け烏が渡ってもたのむ 私ゃ浮かれて盆踊り *ヤヤ(ヤリャ)盆踊り 私ゃ浮かれて盆踊り
ひとつ唄います音頭取りたのむ 音頭取り様で手が揃う *
踊り踊るなら品良く踊れ 品の良い子を嫁に取る *
唄は良いもの仕事がはずむ(仕事ができる・仕事は進む) 話ゃ悪いもの手が止まる *
今年ゃ豊年泥田の水も 飲めば甘露の味がする *
<他の組み合わせ>
私ゃ音頭取って踊らせるから 夜明け烏の渡るまで *
夜明け烏は夜に迷て鳴く 私ゃあなたに迷て鳴く *
雨は天から降れども晴れる わしの心はいつ晴れる *
今年ゃ豊年泥田の水も 飲めば甘露の味がする *
踊り踊るなら品良く踊れ 品の良い子を嫁に取る *
踊り踊るなら今晩限り 明日の晩から籠の鳥 *
唄は良いもの仕事がはずむ 話ゃ悪いもの手が止まる *
唄え唄えとわしばり責める 唄は出もせず汗ばかり *
詳しい解説♪
北海道民謡。道南(函館、渡島(おしま)地方)一円の盆踊り唄。別名「亀田盆唄」ともいう、
元唄は、秋田地方で歌われていた「鷹の巣盆唄」の流れであるとも、南部藩の「ナニヤドヤラ」の変形であるとも言われており定かではないが、戦前戦後を通じてこの唄ほどよく唄われた民謡はないと言ってよいほどの、馴染み深い唄である。
その原動力となったのは、江差追分名人佐々木基晴氏である。氏は、この道南盆唄が戦後、北海盆唄の大流行に影を潜めようとしていた折り、伴奏をつけて復活させ、保存会も発足させた。結果、道南地方を代表する盆踊り唄として返り咲き、全道共演大会などではよく唄われ、こと初心者には好まれる唄と目されるなど、今日の大勢が出来上がったと言われている。
土用波が立ち始めた砂浜に高い盆櫓が組まれ、盆太鼓やかがり火に誘われて集まった浜の老若男女が、“私ゃ音頭取って踊らせるから、夜明け烏の渡るまで”と、夜が更けるのも忘れて唄い踊ったであろう風景が、目の当たりに浮かぶような懐かしい曲調である。
演奏のポイント♪
お三味線、尺八か篠笛、盆踊りに欠かせない櫓太鼓、そしてお唄とお囃子という、これも典型的な民謡クインテットです。但し、お三味線やお囃子などは重複もアリだと思います。要するに盆踊りですから、楽しく演奏出来ればそれが何よりです! 特にお三味線と櫓太鼓は、フレーズそのものがループなので、ただ単にルーチンではなく、歌詞の意味や情緒、風情などをフレーズに反映させること。例えば二つの歌詞のシチュエーションが真反対な場合、伴奏の弾き方からその違いが聴き取れるほどであれば名人クラスだし、それは即ち唄い手さんも唄いやすい、ひいては踊り手さん方も踊りやすいとなると思います! 今年の夏もどこかで、この道南盆唄のサタデーナイトフィーバーが繰り広げられるのでしょうか?(古っ)爆 大いに楽しんで下さ~い!!!