日本民謡ガイドブック

民謡ガイド⑪ だんじゅかりゆし 〜解説、歌詞、意味〜

だんじゅかりゆし

民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第11弾は、琉球民謡「だんじゅかりゆし」。

三線片手にゆらゆらと唄われるこの曲からは、南国風情が感じられますね。だんじゅかりゆしは、航海の安全を祈る唄です。歌詞の意味が分からなくても、船、綱、風といった海を思わせるキーワードが散りばめられており、目を閉じて聞くと船出の様子がイメージできる、琉球民謡らしい一曲です。

児玉宝謹の寸評

ジャーン♪(またジャーン(笑) 今度はなに?)

琉球です。

日本民謡は有名なものだけで約1,000曲、全て含めると53,000曲、しかも現在その数は増え続けている!その「増え続けている」一番の原動力が、ここ琉球なんです。この曲は保守本流の古典ですが…

王朝があったので、琉球は日本民謡にあらず、琉球として別個に扱うべきというご意見もありますが、僕個人的にはむしろ、北海道のアイヌも日本民謡として加えていいんじゃないかとさえ思っております。いずれも縄文人。日本人のルーツですからね。

民謡の楽しみ方海の幸、山の幸に恵まれ、その豊かさゆえに中国や島津の属国にされ、先の大戦では唯一玉砕した島。その後も米軍基地が諸島の凡そを占め、地元の方々のご苦労は筆舌に尽くし難いものがあると思いますが、こういう民謡を聴くにつけ、何かこう、それら全てを内包した「深さ」みたいなものを感じるのであります。

 

 

歌詞を読んでみよう!

だんじゅかりゆしや いらでぃ(選んで)さしみしぇる(差し召される)
いかにも縁起の良いこと(日)は選んで実行(出港)なされる
ふにぬ(船の)ちな(綱)とぅりば(取れば) かじや(風は)まとむ(真艫) 「サーサーかりゆし」
船の綱を取るなら(かならず)風は順風 
綱取ゆる(ちなとぅゆる)船ぬ(ふにぬ) 止してぃ止しまりみ(ゆしてぃゆしまりみ)
とも綱を取った舡は 止めようとしても止められない
いもちもり里前(さとぅめ) 御待ち(うまち)さびら 「サーサーかりゆし」
行ってらっしゃい大切なお方 お待ちしております
だんじゅかりゆしや いらでぃ さしみしぇる
 いかにも縁起の良いこと(日)は選んで実行(出港)なされる
「ハリヨ船ヨー ユーハイセ」
 走れよ船よ よく走るのは
*ナンチャユーハイセー サーサユーハイセー
 なるほどよく走るのは ササよく走るのは
(イヤ ハッ ハッ ハッ ハッ)
船ぬ 綱とりば  風や 風やまとむ「  」*(  )
 船の綱を取るなら(かならず)風は順風
うむてぃ花咲かち  とむに しじ引かち「  」*(  )
 思って花を咲かせて 共に神の霊力を引き寄させて
かりゆしぬ船ぬ  走(は)るが 走るが美(ちゅ)らさ「  」*(  )
 縁起の良い船の走りは 何と美しいことよ
かりゆしぬ船(ふに)に かりゆさ小乗してぃ(ぐゎぬしてぃ)
縁起の良い船に 縁起の良いことを乗せて
旅ぬ行ち戻い(いちむどぅい) いとぅぬ上から(うぃーから)
旅の行き戻りは絹の上を(走るように安全だ)

 

詳しい解説

沖縄県民謡。

だんじゅ嘉例吉とも。だんじゅとは「本当に」かりゆしとは「めでたい」の意。昔は「言霊」(ことだま)という言葉があった。それを発言することが、現実になると信じられている。

「だんじゅかりゆし」は海に囲まれた沖縄の人々が航海に出る人々の安全を祈る言葉。曲調は最初ゆっくりで、だんだん速くなり、船が順調に走る姿を想起させる。

演奏のポイントと難易度

構成:三線。唄。

難易度:レベル4/5

琉球民謡は殆ど弾き唄いしたほうが映えるものが主流ですね。地元の方々もほぼそうなさっておられます。

といってその難易度は、難しいものが多く(苦笑) このだんじゅかりゆしは上記のように4/5かと…決して一朝一夕には習得できません。でも僕的に突破口は「不側不離型」であること!難しい部分は、焦らずゆっくり集中的に練習してみて下さい。

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