民謡は難しくないし、古臭くない! 日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。
都道府県シリーズの第4弾は「津軽シリーズ全12曲」。
幸真會アーカイブ的に50音順で、先ずは「嘉瀬の奴踊り」からです。
児玉宝謹の寸評♪
この曲は一言で言えば「やけくそ」ですw
下記解説にもありますように、領主の横暴に耐えかねて、やり場のない感情を唄と踊りで、
それも比喩表現でバレないようにして発散したのです。
現代ならアカウント停止モノでしょうかねw そこを上手く搔い潜る知恵は、
そう思えば昔も今も、なぁ~んにも変わってない、実は全然進化してないと愕然とするかも・・・
これを読んでるあなたがもしそうなら、それこそこの唄と踊りで思いっきり発散しましょうかねw
歌詞を読んでみよう♪
(ソラ ヨンヤナカサッサイ)
さあさこれから 奴踊り踊る 手拍子揃えて 品良く踊れ
(または、さあさこれから奴踊り踊る) ( )
鮎は瀬につく 鳥ゃ木に止まる 私ゃあなたの「コリャ」目に止まる( )
嘉瀬はよいとこ お米の出どこ 秋は黄金の「 」波が立つ( )
黄金波立つ 実りのお盆 奴踊りで「 」夜を明かす( )
嫁も姑(しゅうと)も みな出て踊れ 嘉瀬の奴踊り お国の自慢( )
嘉瀬と金木の 間の川コ 小石流れて 木の葉コ沈む( )
見たい見せたい 夢でもよいが 恋しい喜良市 わしゃ山桜( )
稲妻ピカピカ雷ゴロゴロ 意気地なし親父 バラ株サ引っ掛かって千両箱拾た( )
竹の切り口 スコタンコタンのなみなみたっぷり 溜まりし水は 飲めば甘露の「 」味がする
( )
詳しい解説♪
青森県北津軽郡嘉瀬地方の盆踊り唄。現在は金木村に編入されているこの地方は昔、岩木川流域の良質米穀地帯と比較して、毎年旱魃に見舞われて収穫が少なかった。その収穫量にも及ぶ程の思い年貢米に苦しめられられていた農民が、”小石流れて木の葉が沈む”と、理屈に合わない世の中とその不平不満を、踊りに託して風刺したと伝えられている。
もともと金木新田の嘉瀬村は開拓農地で、南北朝の末期、足利氏に抵抗した南朝の遺臣鳴海伝之丞が当地の開拓にあたっていたが、この苦しみを見かねた下僕の徳助が、主人を慰めるために踊ったのが、奴踊りの始まりともいわれている。
この曲は、鯵ヶ沢甚句と系統をひくとも言われているが、三つ手を叩くところが鯵ヶ沢甚句とは異なっており、またこの点が唯一、昔の面影を残しているともいえる。現在は唄を唄うのではなく、踊りを踊ってその年の豊作を祝う趣きとなっている。
演奏のポイント♪
お唄、お囃子、津軽三味線、〆太鼓、尺八か篠笛という、典型的な民謡クインテットです。レベル的にさほど難しくはありませんが、解説にもありますように、当時の農民の苦しみ、それが鬱憤となり、いわばやけくそな心情が背景にあることに留意しましょう。特にお囃子の”ソラ ヨンヤナカサッサイ”
は、民謡歌手が舞台で唄う場合は、如何にもプロのお囃子コンビが甲高い声で鋭く綺麗に囃しますが、現地やそれ以外では本当に、叫ぶというかガラッぱちな感じで、如何にもやけくそ感がよく出ているのを聴いたことがあって、すこぶる納得したものです。そういう味付けもまた一興かもしれませんね。