日本民謡ガイドブック

民謡ガイド⑫ てぃんさぐぬ花 〜解説、歌詞、意味〜

てぃんさぐぬ花

民謡は難しくないし、古臭くない!日本に伝わる民謡を一曲ずつ解説していきます。第12弾は、琉球民謡「てぃんさぐぬ花」。

割と有名な曲なので、聴いてみると「知ってる」と思い出す方もいるでしょう。沖縄を代表する曲といっても過言ではありません。しっとりして透明感のある、美しい曲です。大阪では、環状線の大正駅の発着メロディとしてもお馴染みですね!

児玉宝謹の寸評

琉球第二弾です(第三弾もあります)

僕がこのてぃんさぐぬ花を初めて聴いたのは、映画「ひめゆりの塔」でした。防空壕の中で、現在でいう中学生や高校生にあたるひめゆり学徒たちが、透明感のある透き通った唄声と、南国らしいゆるやかな舞で、ほんのひとときの憩いにと。

でもつぎの瞬間、ものすごい爆発音と、乙女たちの悲鳴、「待避~っ」という上官の叫び声と、物語は続くのですが(涙) 唄に関して言えば僕は上記のように、透き通った唄声と、♪てぃんさぐぬ花やァ」の、グリッサンドする「ァ」の部分が印象的で、なんていい唄なんだろうと思ったものでした。

民謡の楽しみ方

それからまたこの曲と再会するのは、20年以上を経た数年前になるのですが、あの時の印象をなるべく自分なりに再現したくて、下の句を女声の帯域で繰り返すようにしています。

 

 

 

歌詞を読んでみよう

てぃんさぐぬ花や 爪先(ちみさち)に染(す)みてぃ 親(うや)ぬゆし事(ぐとぅ)や 肝(ちむ)に染(す)みり
ホウセンカの花は爪先に染めなさい 親の教えは心に染み渡らせなさい
天(てぃん)ぬ群(むり)星(ぶし)や 読(ゆ)みば読(ゆ)まりゆい 親(うや)ぬゆし事(ぐとぅ)や 読(ゆ)みやならぬ
天上に群れる星は数えようと思えば数えられても 親の教えは数え切れないものだ
夜(ゆる)走(は)らす船(ふに)や 子(に)ぬ方(ふぁ)星(ぶし)目当(みあ)てぃ 我(わん)な生(ちぇ)る親(うや)や 我(わん)どぅ目当(みあ)てぃ
夜の海を往く船は北極星を目当て(目印)にする 私を生んだ親は私の目当て(手本)だ
宝玉(たからだま)やてぃん 磨(みが)かにば錆(さび)す 朝夕(あさゆ)肝(ちむ)磨(みが)ち 浮(うち)世(ゆ)渡(わた)ら宝玉と言えど磨かなければ錆びてしまう 朝夕と心を磨きながら日々を生きて行こう
誠(まくとぅ)する人や 後(あとぅ)や何時(いち)迄(までぃん) 思事(うむくとぅん)叶(かなて)ぃ 千代(ちゆ)ぬ栄(さか)い
正直な人は後々のいつまでも 希望は叶えられ末永く栄えるだろう
なしば何事(なんぐとぅん) なゆる事(くとぅ)やしが なさぬ故(ゆい)からどぅ ならぬ定(さだ)み
何事も為せば成るものではあるが 為さぬことはいつまでも成らないだろう
行(いち)足(た)らん事(くとぅ)や 一(ちゅ)人(い)足(た)れ足(だ)れい 互(たげ)に補(うじ)なてぃどぅ 年(とぅし)や寄(ゆ)ゆる
一人で出来ないことは一人でやらず助け合いなさい
お互いに補い合って世の中は成り立っている
あてぃん喜(よろこ)ぶな 失(うし)なてぃん泣くな 人(ひとぅ)ぬよしあしや 後(あと)どぅ知(し)ゆる
有っても喜ぶな失っても嘆くな それが良いことか悪いことかは後々にわかることだ
栄(さか)てぃゆく中(なか)に 慎(つつし)しまななゆみ ゆかるほど稲(いね)や あぶし枕(まく)ぃ
満たされている時ほど謙虚さを忘れてはならない
稲穂が実ると頭を垂れてあぜ道を枕にするように
朝夕(あさゆ)寄(ゆ)せ言(くとぅ)や 他所(よそ)の上(うぃ)も見(み)ちょてぃ 老(お)いのい言葉(ぐとぅば)の 余(あま)りと思(おも)ぅな
老人の朝夕の言には真摯に耳を傾けなさい
老い先短い者の与太話などと侮るべきではない

 

詳しい解説

沖縄県民謡。

表題は文献により「てぃんさぐの花」「てんさぐの花」「てんさごの花」と紹介される場合もある。てぃんさぐとはホウセンカ(鳳仙花)のことで、沖縄県では古くからホウセンカの汁を爪に塗って染めると、マジムン(悪霊)除けの効果があると信じられていた。1番から10番まであり、親や年長者の教えに従うことの重要性を説く教訓歌となっている。

1966年(昭和41年)に「てんさぐの花」のタイトルでNHK『みんなのうた』8-9月放送曲として山本直純編曲、中村浩子と杉並児童合唱団の歌唱で放送された。同番組で沖縄民謡が放送されたのは初である。放送後、1970年(昭和45年)に刊行された西崎嘉太郎/日本青少年音楽教育センター監修『日本うたの地図』(しなの出版)では、この時点で未制定だった都道府県民歌に代えて、本曲が「てんさぐの花」の表題で「沖縄を代表する曲」として掲載されている。

やがて1972年5月15日にアメリカ合衆国の施政権下から日本へ返還され、日本の都道府県としての沖縄県が28年ぶりに再置された。同日には「沖縄県民の歌」が沖縄県章と合わせて制定されたが、県では2012年(平成24年)の復帰40周年を前に、新しい県民愛唱歌「うちなぁかなさうた」の制定を検討していることが2011年(平成23年)の秋に報じられた。新規の愛唱歌を制作するか、伝統的に愛唱されて来た曲を指定するかの二通りの案が並行して議論された結果、県民を対象にしたアンケートで「てぃんさぐぬ花」が圧倒的な支持を集めたので、新規の愛唱歌制作は見送られ「てぃんさぐぬ花」を県民愛唱歌「うちなぁかなさうた」に指定することが2012年3月18日に発表された。

2003年(平成15年)に開業したゆいレールでは、車内アナウンスで県庁前駅への到着を知らせるメロディに本曲が使用されたり、また2015年(平成27年)3月22日からはJR西日本大阪環状線の大正駅で、沖縄文化色の濃いまちのイメージにちなんで、本曲が発車メロディに使用されていることからも、この唄が広く愛されている様が伺える。

演奏のポイントと難易度

構成:三線。唄。

レベル2/5

こちらも琉球民謡の例にもれず、弾き唄いがお似合いです。メロディーはシンプルだし、旋律同期型なので、初心者向きでもあります。ただ手前共では、下の句を繰り返して女声のファルセットで唄う構成にしてあります。帯域の狭い方にはこの点が難しいかもしれませんね。しっとりと楽しんでみて下さいませ。

 

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